古物営業の基本的なルールを確認しましょう
このページでは、古物商を営むための基本的なルール、古物商として果たさなければならない義務について解説しています。
古物商が営業の規制を受ける目的は、盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため、窃盗等の犯罪の防止を図り、その被害を迅速に回復させることです。
そのために、古物商を営むために守らなければならないルールが規定されています。以下でその10項目の義務について解説します。
標識の掲示義務
古物商は許可を受けて営業しているということを示すために営業所ごとに標識を掲示しなければならないことになっています。
古物営業法で次のように規定されています。
古物商または古物市場主は、それぞれ営業所若しくは露店又は古物市場ごとに、公衆の見やすい場所に、国家公安委員会規則で定める様式の標識を掲示しなければならない。
(古物営業法第12条第1項)
「国家公安委員化規則で定める様式」というのは古物営業法施行規則で、次のように規定されています。
- サイズは、縦8センチメートル、横16センチメートル
- 色は、紺色地に白文字
- 記載内容は、許可番号、取り扱う古物の区分、古物商の氏名又は名称
古物商として営業するには標識を掲示しなければなりません
をご確認願います。管理者の専任
古物商を営むためには、営業所ごとに管理者を選任することが義務付けられています。
その目的は、古物商の営業所での業務を適正に実施するためで、管理者はその責任者となります。
管理者となるために特別な資格は必要ありませんが、古物商及び役員等と同様に欠格要件に該当しないことが必要です。
また、管理者は取り扱う古物が非不正品であるかどうかを判断する能力が求められます。
そのため、古物商は管理者に対して、一定の知識、技術、経験を得させるよう努めなければならないとされています。
特に、自動車、バイク、原付に関しては、3年以上の実務経験や講習の受講が努力義務として挙げられています。
古物商は営業所ごとに管理者を選任しなければなりません
をご確認願います。取引の相手方の確認
古物商の営業が規制されていることの目的は、犯罪の防止と被害の迅速な回復のためです。
そのため、取引相手の素性は完全に把握しておく必要があります。
この義務は非常に重要なものですから、内容をよく理解して、適正に履行しなければなりません。
取引相手の確認は次のような場合に行わなければなりません。
- 古物を買い受けるとき
- 古物を交換するとき
- 古物の売却、交換の委託を受けるとき
確認しなければならない取引の相手方の情報は次のとおりです。
- 氏名
- 住所
- 職業
- 年齢
注意点としては、職業も確認しなければならない点です。「会社員」や「自営業」ではなく、具体的に、勤め先や屋号を確認しなければなりません。
確認義務の例外として、次の2点が規定されています。
- 取引の対価の総額が1万円未満の場合
- 自己が売却した物品を売却した相手から買い受ける場合
ただし次の物品に関しては、上記の除外は適用されず、相手方の確認を行わなければなりません。
- バイク、原付およびそれらの部品
- ゲームソフト
- CD,DVD等
- 書籍
古物商は取引相手の真偽を確認しなければなりません
をご確認お願いします。古物取引が非対面で行われる場合の相手方の本人確認方法とは
をご確認ください。不正品の疑惑の申告義務
古物商は、取り扱う古物が不正品である疑いがあると認めたときは、直ちに警察に申告をしなければならないことになっています。
ここで大事な役目を果たすのが営業所ごとに選任されている管理者です。
そのために、取り扱う古物が不正品かどうかを見抜き目を養わなければなりません。
不正品であるかどうかを考えるための着眼点としては、取り扱う物品によってさまざまであろうと思いますが、そのものを見るだけでなく、取引相手をよく見ることも重要な場合があります。
古物商には不正品の疑いがあれば警察に申告する義務があります
をご確認お願いします。取引の帳簿への記録の義務
古物商は、取引した物品の中に万が一不正品があった場合、その履歴を追うために取引の記録を帳簿等へ記載しておかなければなりません。
記録しなければならないのは次のような時です。
- 古物の売買
- 古物の交換
- 鉱物の売買又は交換の委託
記録事項は次のとおりです。
- 取引の年月日
- 古物の品目及び種類
- 古物の特徴
- 取引の相手方の住所、氏名、職業、年齢
- 取引相手の確認方法
古物商は取引の記録を残すことが義務づけられています
をご確認ください。帳簿の備え付けと保存の義務
前項で記録した帳簿は事務所に備え付けておかなければなりません。
具体的な方法としては、紙に記載したものでも、コンピュータにより記録したものでもどちらでも構いません。
どちらにおいても、警察から要求があった時などに直ちに取り出して、表示できるようにしておかなければなりません。
保管期間は3年間です。
また、帳簿が紛失、棄損したときは警察署に届け出なければならないという規定もありますので注意が必要です。
警察への捜査の協力義務
警察への捜査の協力としては、品触れ、差し止めというものがあります。品触れ
品触れとは、警察が盗品の発見のために、古物商に対して被害品の通知をし、その有無の確認と届出を求めるものです。
古物商としては、品触れの書面を受け取った場合、6か月間は保存し、記載されている物品を所持していたり、又は、持ち込まれたりした場合は直ちに警察に届け出なければなりません。
古物商は警察からの品触れに協力しなければなりません
をご確認ください。差し止め
差し止めとは、警察が古物商に対して、盗品の疑いがある古物について、一定期間の保管命令を行うことです。
差し止められた古物は、当然売却することはできません。また、交換の委託を受けたものを所持していたとしても、返却することもできないので注意してください。
許可証の携帯義務
古物商は、行商をするときには、許可証を携帯しなければなりません。
行商というのは、営業所を離れて取引を行う営業形態のことです。 また、一般公衆が往来する場所等に設けられた店舗を露店といい、露店を出すことも行商に含まれます。 古物市場での売買、中古自動車の訪問セールスも行商です。 古物商本人だけでなく、代理人等も行商従業者証を携帯しなければなりません。古物商は行商をするときに許可証を携帯しなければなりません
をご確認ください。営業場所の制限
古物商は営業する場所が制限されています。
行商をする許可を受けている場合でなければ、古物商は、自身の営業所または取引相手の住所もしくは居所のみで取引を行うことができ、それ以外の場所では、買い受け、交換、又は売却、交換の委託をうけるため、古物商以外のものから古物を受け取ってはなりません。
また、古物市場においては、古物商との間だけでのみ取引を行うことができます。古物商は営業する場所が制限されていますので注意しましょう
をご確認ください。名義貸しの禁止
古物商は、許可を受けなければ営業を行うことはできません。
名義貸しというのは、自己の名義をもって、他人にその古物営業を営ませることです。
これは許可を得ていない者に古物営業を行わせることですから禁止されて当然です。