古物商は帳簿に取引の記録を残すことが義務づけられています
このページでは、古物商を営む者の義務の一つである取引の記録に関する義務について解説しています。
古物商には、営業を行う上で様々な義務が課せられています。理由は、盗品等の流通を防止することで犯罪を防止し、被害を迅速に回復するためです。
その義務の中の一つが、取引の記録義務です。
この記録により、いつ誰から何をどのようにして買い入れ、そしていつ誰に売却したか明白にすることにより、万が一盗品が流通していた場合に、その流通経路を迅速に把握することができ、捜査に役立てることができます。
自身の事業の管理という意味だけでなく、犯罪を防止と被害の迅速な回復のためであるという目的もしっかりと認識しておきましょう。
どのような時に記録しなければならないか
古物商はいつ、どのような時に取引の記録をしなければならないのでしょうか。
古物商は、売買若しくは交換のため、又は売買若しくは交換の委託により、古物を受け取り、又は引き渡したときは、その都度、帳簿に記録しておかなければならない。
(古物営業法第16条抜粋)
すなわち古物商が記録しなければならないのは次のような場合に古物を受けとり、又は引き渡したときです。
- 古物の売買
- 古物の交換
- 古物の売買、交換の委託
つまり、古物商の取引すべてです。
何を記録しなければならないか
それでは、取引における何を記録しくなければならないのでしょうか。
記載事項は次のとおりです。
- 取引の年月日
- 古物の品目及び数量
- 古物の特徴
- 取引の相手方の住所、氏名、職業、年齢
- 相手方の本人確認の方法
何に、どのように記録しなければならないのか
記録する方法は、手書きでもコンピュータによるものでも構いません。
法で規定されている様式は次のようなものです。
(1)買受け、又は、委託を記載します。
(2)一品ごとに記載します
(3)特徴は、例えば次のようなものです。
・衣類の場合、上着、○色、〇〇ネーム入り、素材等々
・時計の場合、セイコー製、型名、色、素材、傷の状況
・自動車の場合、自動車登録番号又は車両番号、車名、車台番号、所有者の氏名
(4)取引の相手方は、2回目以降の取引の場合は、氏名の記入すればよく、他は省略できます。
(5)払い出しの区分は、売却、委託に基づく引き渡し、返還の別を記載します。
記録は取引の順にしなければなりません。
また、記録すべき内容が記録されていれば、上の様式を厳密に守る必要はありません。
いつまで、どのように保管しなければならないか
記録した帳簿は、記録した日から3年間保存しなければなりません。法律で次のように規定されています。
古物商は、帳簿を記載した日から3年間営業所に備え付け、直ちに書面に表示することができるようにして保存しておかなければならない。 (古物営業法第18条第1項抜粋)
また、紙の保存に限るわけではなく、コンピューターで作成したファイルをハダードディスクやDVD、その他メモリーに保存したものでも構いません。
何かあった時にすぐに取り出せるようにしておきましょう。
注意しておかなければならないのは、何らかの理由で帳簿の内容を読み取ることができなくなった場合、は警察署に届け出なければならないということです。古物商は、帳簿又は電磁的方法による記録を棄損し、もしくは亡失し、又はこれらが滅失したときは、直ちに営業所の所在地の所轄警察署長に届け出なければならない
(古物営業法第18条第2項抜粋)
記録義務にも例外はあります
取引のたびに記録をしなければならないわけですが、例外もあります。
次のような場合が例外に当たります。
買受け又は売却の対価の総額が1万円以下の場合
取引金額が1万円以下の場合は、記録義務は免除されます。 ただし、犯罪の被害状況や盗品の古物商への流入の実態を考慮し、少額取引でも特に必要と思われる次の物品の取引については、記録義務が課せられます。- バイク(部品含む)
- 原付(部品含む)
- ゲームソフト
- CD、DVDソフト
- 書籍
売却の場合のみ免除される場合
売却のみの場合は、記録は免除されます。 しかし、必要性が特に認められるものは記録しなければなりません。次のものは売却の場合でも記録義務は免除されません。- 美術品類
- 時計・宝飾品類
- 自動車(部品含む)
- バイク(部品含む)
- 原付(部品含む)
一部の記録事項について記録義務が免除される場合
古物が中古児童書の場合は、記録事項の一部が免除されます。
具体的には、中古自動車を売却したとき、相手方の氏名、住所は記録する必要はありません。
この理由は、自動車は全国的に統一された法律上の登録制度が存在するため、記録しなくても相手方を特定することが可能だからです。