ヤフオク仕入れの相手方の本人確認の方法はどうすべきか
このページでは、ヤフオクで古物を仕入れる場合の相手方の本人確認の方法について解説しています。
インターネットを利用した古物の取引で最も大きな懸念点は、仕入れ時の取引相手の本人確認方法です。
日本最大のネットオークションサイトであるヤフオクを利用している古物商もどんどん増えてきています。
ヤフオクでは独特の決済方法「かんたん決済」というものを利用して品物の代金を支払います。
仕入れる場合の相手方の確認方法は、法律で10通り以以上も規定されています。
その内容を確認しながら、ヤフオク仕入れで実際に使える方法を考えてみましょう。
どのような方法で本人確認をするのか、落札する前に確認したいところですが、落札できるかどうかわからないので、事後になってしまうこともあるでしょう。
しかしながらなるべく事前に確認しておくほうがいいでしょう。
まず、住所、氏名、職業、年齢を聞きましょう。これさえ申し出てくれない人とは取引すべきではありません。
1.相手方から、住所、氏名、職業、年齢の申し出を受け、印鑑登録証明書及びその実印を押印した書面の押印を受けること
印鑑登録証明書を取ってきてもらうように依頼して、その登録されている実印を押した書面を印鑑登録証明書とともに送付してもらいます。
この方法は、ヤフオク仕入れの本人確認において可能な方法です。
しかしながら応じてくれる人がいるかどうか疑問です。
2.相手方から、住所、氏名、職業、年齢の申し出を受け、相手方に本人限定受取郵便等を送付し、到達を確認すること
相手方に本人限定受取郵便を送付し、相手方に到達したことを確認します。
中身がからの封筒でもいいですが、商品を発送するときの送り状とか、相手方と相談した方がいいでしょう。
この方法もヤフオク仕入れの本人確認において可能な方法です。
3.相手方から、住所、氏名、職業、年齢の申し出を受け、本人限定受取郵便により代金を支払うことを約束すること
ヤフオクの取引では、基本的に「かんたん決済」という方法を利用します。これは口座情報等を公開しなくても決済できる非常に便利なものです。
しかしながら、「本人限定受取郵便により代金を支払う」というのは、現金書留を利用することなので、これには対応していません。
一部商品のカテゴリーで現金書留での支払いが認められていますが、支払い方法は出品者にゆだねられており、「かんたん決済にのみ」となっていることがほとんどです。
したがって、この方法は、ほぼ不可能でしょう。
4.相手方から、住所、氏名、職業、年齢の申し出を受け、住民票の写し等の送付を受けるか、又は身分証明書等に組み込まれた半導体集積回路に記録された本人情報もしくは本人確認用画像情報の送信を受け、相手方に配達記録郵便等で転送しない取り扱いをされるものを送付し、その到達を確認すること
住民票等とは、次のものです。
- 住民票の写し
- 住民票の記載事項証明書
- 戸籍の謄本又は抄本
- 印鑑登録証明書
この場合の身分証明書とは、住所、氏名、年齢又は生年月日が記録されたICチップ等が組み込まれたもので、その情報をカードリーダー等で読み取り送付してもらうことになります。
また、本人確認用画像とは、古物商が提供するソフトウェハを使用して撮影された身分証明書等の画像情報のことをいいます。
上記のうちのいずれか一つを送付してもらい、転送不要の書留等の配達記録郵便で品物の送付状等を送りその到達を確かめます。
本人確認用画像情報の送信は現実的ではありませんが、住民票等の送付さえ応じてもらえればヤフオクの本人確認として可能な方法です。
しかし、応じてくれる人がいるかは疑問です。
5.相手方から、住所、氏名、職業、年齢の申し出を受け、身分証明書等若しくは住民票の写し等の内、いずれか二つの書類の写しの送付を受け、又は身分証明書等もしくは住民票の写し等の写し及び相手方の住所が記載された書類(補完書類)もしくはその写しの送付を受け、並びに相手方の住所宛に配達記録郵便等で転送しない取り扱いをされるものを送付し、その到達を確認すること
これは、書類を2点確認するという方法です。
- 住民票の写しと運転免許証のコピー
- 住民票の写し(または運転免許証のコピー)と補完書類
補完書類というのは次のようなものです。
- 税金の領収書又は納税証明書
- 社会保険料の領収証書
- 電気、ガス、水道等の公共料金の領収証書
これらのうち2種類の書類を送付してもらい、その住所に転送不要の配達記録郵便を送り到達を確認します。
2種類の書類を送付してくれることに応じてもらえれば、本人確認として可能な方法です。
しかしながら、応じてくれる人がいるかどうか疑問です。
6.相手方から、住所、氏名、職業、年齢の申し出を受け、住民票の写し等の送付を受け、そこに記載された氏名を名義人とする預貯金口座への振り込みにより代金を支払うことを約束すること
この方法では、銀行振り込みにより代金を支払うので、ヤフオクでは不可能です。
7.相手方から、住所、氏名、職業、年齢の申し出を受け、身分証明書等の写しの送付を受け、その住所宛に配達記録郵便等で転送しない扱いをされるものを送付し、その到達を確かめ、記載された氏名を名義人とする預貯金口座への振り込みにより代金を支払うことを約束すること
この方法も、銀行振り込みにより代金を支払うので、ヤフオクでは不可能です。
8.相手方から、住所、氏名、職業、年齢の申し出を受け、古物商が提供するソフトウェハを使用し、本人確認用画像情報の送信を受けること
この方法は古物商がソフトウェハを用意し、それを利用し、本人確認用画像情報を送信してもらいます。
本人確認用画像情報とは、写真付き身分証明書の画像で、容貌、住所、氏名、年齢又は生年月日が確認できるものです。運転免許証でいいでしょう。
ヤフオクのシステムでは不可能です。
しかし、決済の前に古物商自身のサイトに誘導して画像データを送信してもらえれば可能かもしれません。
9.相手方から、住所、氏名、職業、年齢の申し出を受け、古物商が提供するソフトウェハを使用し、本人の容貌の画像の送信を受け、写真付き身分証明書等に記録されたICチップ等の情報の送信を受けること
これも古物商側でソフトウェアを用意しなければなりません。
ヤフオクのシステム上では不可能です。
独自サイトで画像送信できたとしても、相手方にカードリーダー等で情報を読み取り送ってもらわないといけないのでハードルは高いです。
10.相手方から、電子署名が行われた住所、氏名、職業、年齢の記録の提供を受けること
ここで認められる電子署名は次のようなものです。- 地方公共団体情報システム機構が発行した電子証明書
- 特定認証業務を行う署名検証者が発行した電子証明書
これらはヤフオクのシステム内で使用することはできず、本人確認の方法として不可能です。
電子署名の詳しい内容はここでは割愛しますが、基本的にヤフオクでは本人確認としては利用不可能です。
11.2回目以降の取引で、1回目の取引において本人確認済であり、ID、パスワード等により確認すること
これは2回目以降の取引における話なので、1回目の本人確認がなされていることが前提です。
以上みてきたように、ヤフオク仕入れにおいて、本人確認を行う方法はありますが、現実には難しいと言わざるを得ません。
取引相手の本人確認は、古物商を営む上での義務の中で最も重要なものの一つです。
定められたルール通り本人確認を行うことが結果的にあなたのビジネスにとって利益につながるのではないでしょうか。